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バカラック その5:イギリス2

2023.03.14
A House is Not a Home

A House is Not a Home

Burt Bacharach Part 5

(1964)

#Songwriter

Songwriterシリーズ
Burt Bacharach の5回目です。

第5回 : イギリスのミュージシャンに提供した楽曲 と Dusty Springfield

前回に引き続き、1960年代、イギリスで制作された楽曲を聴いていきたいと思います。

イギリスのミュージシャンに提供した作品には1962年に Cliff Richard に " (It's) Wonderful to Be Young"、同年年に Helen Shapiro に "Keep Away from Other Girls" を提供していました。本格的にイギリスのミュージシャンに楽曲を提供したきっかけは前回書いたように映画でした。

イギリスを代表する歌姫、Dusty Springfield も Burt Bacharach のメロディに惹かれた1人で、Dionne Warwick のバージョンが初出の "Wishin' and Hopin'" を1964年にシングルリリースし、 Billboard Hot 100の6位のヒット、Tommy Hunt、Chuck Jackson のバージョンが初出の "I Just Don't Know What to Do With Myself" を同年リリースし、これもヒット。Dusty Springfield は Burt Bacharach にとってイギリスにおける重要なシンガーとなります。

"The Look of Love" は元々『007/カジノ・ロワイヤル』 (CASINO ROYALE、1967) 用に歌なしインストナンバーを想定して作られた曲でしたが、関係者は映画のラッシュフィルムのアーシュラ・アンドレス (Ursula Andress) が登場するシーンを観て、急遽詩が付け加えられ、Dusty Springfield が歌うことになりました。

"The Look of Love"は映画公開に先立ち、サックス奏者 Stan Getz がアルバム『What the World Needs Now: Stan Getz Plays Burt Bacharach and Hal David』で録音しています。Dusty Springfield のバージョンも このStan Getz のバージョンを意識して録音、アレンジを担当した Reg Guest もテナーサックスをフィーチャーします。Dusty Springfield のバージョンで Stan Getz そっくりなテナーサックスを吹いている人は Dennis Springer という人です。

この回の後半はイギリスを代表する歌姫、Dusty Springfield の歌唱で Burt Bacharach のメロディを聴いていきたいと思います。


What's New Pussycat (Burt Bacharach-Hal David) / Tom Jones (1965)

『何かいいことないか子猫チャン』 (1965) の主題歌として作られた曲。アレンジを手掛けたのは Charles Blackwell で、Burt Bacharach の意を汲んだ素晴らしいアレンジです。Charles Blackwell は映画『紳士泥棒/大ゴールデン作戦』 (1966) のサウンドトラックでもアレンジを担当し、イギリスでの Burt Bacharach の活動を支えました。
映画『何かいいことないか子猫チャン』は出演していたウディ・アレン (Woody Allen) の映画初脚本作品です。あまりにもヒップで跳んでいる脚本なので、当時はみんなビックリだったそうです。


Promise Her Anything (Burt Bacharach-Hal David) From "PROMISE HER ANYTHING" / Tom Jones (1966)

Promise Her Anything (Burt Bacharach) From "PROMISE HER ANYTHING" (1966)

1966年のアメリカ映画『のぞき』 (PROMISE HER ANYTHING) の主題歌。主題歌を Burt Bacharach が書き、Tom Jones が歌いました。ミュージック・ディレクションは Johnny Harris。快活なギターサウンドに仕上げました。サウンドトラック盤にはインストルメンタルも収録されているのでこれも合わせて。


I’m A Better Man (Burt Bacharach-Hal David) / Engelbert Humperdinck (1969)

1969年、イギリスのシンガー、Engelbert Humperdinck に提供した1曲。1960年後期の隠れた名曲。Peter Sullivan のプロデュースの下、ミュージック・ディレクションは Arthur Greenslade が担当。1960年代後期の曲の中でもお気に入りの1曲です。


I Just Don't Know What To Do With Myself (Burt Bacharach-Hal David) / Dusty Springfield (TV Live、1965)

ここからはイギリスを代表する歌姫、Dusty Springfield が歌った楽曲を聴いていきたいと思います。Burt Bacharach と Dusty Springfield はテレビ番組で度々共演しています。Burt Bacharach が楽曲紹介し、Dusty Springfield が登場します。この曲の初出は 1962年、Leiber-Stoller プロデュースの下、Tommy Hunt のバージョンとされていますが、同年、Chuck Jackson も録音しています。


The Look of Love (Burt Bacharach-Hal David) From "CASINO ROYALE" / Dusty Springfield (1967)

『007/カジノ・ロワイヤル』 (CASINO ROYALE、1967) の挿入曲。プロデュースは John Franz、ミュージック・ディレクションは Reg Guest、このアレンジがいい雰囲気を出しています。今回はその映画のシーン、アーシュラ・アンドレス (Ursula Andress) とピーター・セラーズ (Peter Sellers) と一緒に。初めてこの映画を観た時は妖艶なアーシュラ・アンドレスにクラクラしました〜 (笑顔) 。


Another Night (Burt Bacharach-Hal David) / Dusty Springfield (1968)

1968年のアルバム『Dusty ... Definitely』に収録されている "Another Night"。アレンジは Love Affair などを手掛けた Keith Mansfield が務めています。


A House is Not a Home (Burt Bacharach-Hal David) / Dusty Springfield and Burt Bacharach (TV Live)

元々この曲は映画『禁じられた家』 (A HOUSE IS NOT A HOME、1964) のために書かれた曲で、その時は Brook Benton が歌いました。今回はテレビショーから Burt Bacharach の歌に続いて素晴らしい Dusty Springfield の歌唱を。


* Dusty Springfield と Burt Bacharach





(富田英伸)