Dionのブルックリン・ドジャー
2024.04.22
(I Used to be a) Brooklyn Dodger
Dion
Return of the Wanderer (1978)
MLBのロサンゼルス・ドジャースは、1958年に移転するまではニューヨークのブルックリンに本拠地を置くチームでした。ニューヨーク生まれの Dion が1978年に発表した曲が、今回取り上げる " (I Used to be a) Brooklyn Dodger" です。
歌詞では、博打ばかりしていた16歳の自分を35歳になった自分が振り返ります。
"I Used to be a Brooklyn Dodger"
AIに翻訳させると「俺はブルックリンのペテン師だった」という訳がでます。
往時の自分の栄光を振り返り、「でも、もうヒットは出ないんだ」という、なんともつかないつぶやきが続きます。
1939年生まれの Dion にとって、生まれた時からドジャースはブルックリンにあり、多感なティーンエイジャーの1950年代に、遠く西海岸のロサンゼルスに移転してしまった球団でした。また、この曲を書いた1978年は、彼が30代後半のころ。60年代からの Dion の浮き沈みを考えると、"I Used to be a Brooklyn Dodger" という印象的なフレーズが、ロスに去ったドジャースを懐かしみ、また自分の過去を歌っているようにも聞こえます。
Dion はこの曲を発表した後、キリスト教布教の音楽活動に没頭し、ポップシーンに戻って来るのは、1989年のアルバム『Yo Frankie』までかかります。残念ながらヒットには恵まれなかったとされますが、70年代の Dion を代表すると言っていいこの曲をお楽しみください。
さて、そんな Dion の『ドジャー』ですが、実は彼はニューヨークはマンハッタン北のブロンクス生まれなんですよね。ブロンクスと言えば、もろニューヨーク・ヤンキースの本拠地。方やドジャースはロングアイランド側のブルックリン、もろ敵対のはず。
Dion がティーンエイジャーのころ、ワールドシリーズ (大リーグの優勝決定戦) はニューヨーク・ヤンキース対ブルックリン・ドジャースの間でなんども行われたそう。
Dion少年も野球に入れ込んでいて、もちろんヤンキースファン。ところがある年友達に連れられて、ブルックリンのスタジアムの跡地を覗きに行った。ヤンキースの帽子を脱いで。そこにはもうドジャースはいなかったんだけど、不思議なことが起きた。打球の音、歓声、ヒーローたちが現れた。そんな体験を歌にした、と始まるのが同曲のライブです。
(たかはしかつみ)