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バーブラ・ストライサンドを女優として開花させた Jule Styne。

2024.08.28
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Jule Styne Part 5

(1964)

#Cinema Music Composers

Cinema Music Composers シリーズ
今回は Jule Styne の5回目、最終回です。

1960年代の Jule Styne について。
1960年代に入ると、Jule Styne は新鋭のシンガー、舞台女優のバーブラ・ストライサンド (Barbra Streisand) と出会います。バーブラ・ストライサンドは1962年に女優として舞台に立ったこともありましたが同年、Columbia Records と契約、主にシンガーとして活動していました。

Jule Styne は1964年に戦前のコメディ女優 ファニー・ブライス (Fanny Brice) を描いたブロードウェイミュージカル『Funny Girl』に楽曲を書きます。その主役にバーブラ・ストライサンドを抜擢。Jule Styne は主演を演じたバーブラ・ストライサンドの歌唱力を念頭において楽曲を書いたとのこと。

バーブラは歌唱のみならず、演技者としての才能も開花させます。バーブラ・ストライサンドはこの作品で絶賛され以降、歌と女優の両方の道を歩むことになります。

『Funny Girl』は1968年に映画『ファニーガール』 (FUNNY GIRL) として映画化、舞台と同じく、バーブラ・ストライサンドが主演。これが映画デビュー作となります。バーブラ・ストライサンドはアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。

Jule Styne は1994年、88才で亡くなりました。

最終回は、リタ・ヘイワース (Rita Hayworth) 、ドリス・デイ (Doris Day) 、そしてバーブラ・ストライサンドと女優陣が出演した映画を中心に聴いていきたいと思います。


Anywhere (Jule Styne-Sammy Cahn) From "TONIGHT AND EVERY NIGHT" / Janet Blair (1945)

Anywhere (Jule Styne-Sammy Cahn) / Horace Heidt And His Musical Knights Vocal By Dorothy Rae with Sweetswingsters (1945)

1945年のリタ・ヘイワース (Rita Hayworth) 主演の映画『今宵よ永遠に』 (TONIGHT AND EVERY NIGHT) から。映画の中で、共演したジャネット・ブレア (Janet Blair) が歌いました。
同年に Horace Heidt And His Musical Knights がレコードをリリースしました。Dorothy Rae という女性シンガーが歌い、バックコーラスは The Sweetswingsters というグループが担当しています。


You Excite Me (Jule Styne-Sammy Cahn) From "TONIGHT AND EVERY NIGHT" / Rita Hayworth dubbed by Martha Mears (1945)

同じく、1945年の映画『今宵よ永遠に』 (TONIGHT AND EVERY NIGHT) から。主演のリタ・ヘイワースが溌溂としたラテン調のダンスを披露しました。リタ・ヘイワース、スタイル抜群です!声をアテたのは Martha Mears という女性。1944年の『カバーガール』 (COVER GIRL) でもリタ・ヘイワースの声アテをしています。


It's Magic (Jule Styne-Sammy Cahn) From "ROMANCE ON THE HIGH SEAS" / Doris Day (1948)

It's Magic (Jule Styne-Sammy Cahn) / Beverly Kenney (1958)

1948年の映画『洋上のロマンス』 (ROMANCE ON THE HIGH SEAS) から。この映画で実質的映画デビューしたドリス・デイ (Doris Day) が歌いました。伸びやかな素晴らしいボーカル。その後、ドリス・デイは映画の世界でも人気急上昇します。伴奏はオスカーレヴァント (Oscar Levant) です。
1958年リリースの Beverly Kenney のアルバム『Sings For Playboys』のバージョンの合わせて。ハスキーボイスが心を擽ります。


It's a Great Feeling (Jule Styne-Sammy Cahn) Title Sequence / Doris Day (1949)

It's a Great Feeling (Jule Styne-Sammy Cahn) / Doris Day (1949)

1949年、今度はドリス・デイ (Doris Day) が主演を務めた映画『It's A Great Feeling』からオープニング・シーケンス。ドリス・デイが歌いました。
同年にレコードをリリース。こちらのバージョンはすっきり軽めのジャズアレンジ。男性コーラスグループ、The Mellomen と一緒に歌っています。


Small World (Jule Styne-Stephen Sondheim) / Johnny Mathis (1959)

Small World (Jule Styne-Stephen Sondheim) / We Five (1965)

この曲は後期のミュージカル作品にあたる 1959年のブロードウェイミュージカル『Gypsy』のために書かれた楽曲。同年、Johnny Mathis がこの曲でシングル・リリースしました。演奏は Glenn Osser And His Orchestra です。可愛らしい曲です。
1965年、男女5人のフォークグループ、We Five がデビューシングル " You Were On My Mind" のB面で取り上げました。


People (Jule Styne-Bob Merrill) / Barbra Streisand (1964)

People (Jule Styne-Bob Merrill) From "FUNNY GIRL" / Barbra Streisand (1968)

People (Jule Styne-Bob Merrill) / The Tymes (1968)

1964年のブロードウェイミュージカル『Funny Girl』舞台を受けて、1964年にリリースされた Barbra Streisand のアルバム『People』から。Peter Matz のアレンジです。
1968年に映画『ファニーガール』 (FUNNY GIRL) として映画化。から。舞台でも主役を演じたバーブラ・ストライサンドが映画でも歌い上げます。
多くのカバーが生まれましたが、僕の好きなバージョンを。同年の1968年にリリースされた "So Much In Love" で有名な The Tymes の快活なバージョンです。アレンジは、Richie Rome。プロデュースは Jimmy "Wiz" Wisner です。


Absent Minded Me (Jule Styne-Bob Merrill) / Barbara Streisand (1964)

最後に Jule Styne の知られざる曲の発掘を。
1964年、バーブラ・ストライサンドのシングル "Funny Girl" のB面。この曲はブロードウェイミュージカル『Funny Girl』のために書かれた曲でしたが、舞台では使われませんでした。ボツになりましたが、とても美しい曲。バーブラ・ストライサンドが伸びやかに歌い上げています。Robert Mersey のプロデュースの下、Peter Matz がアレンジ、コンダクターを務めています。


* 1964年のブロードウェイミュージカル『Funny Girl』より



* 上記写真 : Barbara Streisand と Jule Styne








(富田英伸)