home about

Skip Scarborough が書いた初期の曲、そして後期のヒット曲

2024.10.26
It's Alright With Me

It's Alright With Me

Skip Scarborough Part 2

(1979)

#Songwriter

Songwriterシリーズ
Skip Scarborough の2回目、最終回です。

Skip Scarborough は1944年ルイジアナ州の州都、バトン・ルージュ生まれ。その後、ロサンゼルスに移住。1960年中期からレコードクレジットに載るようになります。1960年代は、Attractions、The Younghearts といった西海岸のボーカルグループに楽曲を書いています。

1970年代に入ると、大学時代のクラスメートだった Jessica Cleaves が在籍する The Friends Of Distinction というR&Bグループに楽曲を提供。このグループのサウンドアレンジを手掛けたのが、Jerry Peters。その後、Jerry Peters が手掛ける楽曲で度々、Skip Scarborough の楽曲が採用されるようになります。

1971年、The Friends Of Distinction の女性ボーカリスト、Jessica Cleaves が Earth, Wind & Fire に加入、それがきっかけとなり、Skip Scarborough も Earth, Wind & Fire に楽曲を提供するようになります。Jessica Cleaves は1973年に Earth, Wind & Fire を離れ、デトロイトで、George Clinton と行動を共にし、Parliament、Funkadelic のアルバムに参加しました。

一方、Skip Scarborough は Earth, Wind & Fire の人気が上がっていく中で、Maurice White が結成した音楽制作会社、Kalimba Productions に次々に楽曲提供していきます。その後、Phyllis Hyman、Freda Payne、Patti LaBelle、George Benson などにも楽曲提供、人気ソングライターとなります。

特に、1976年、L.T.D. に提供した "Love Ballad" は Billboard R&B Chart の最高1位、1977年、Bill Withers と共作し Bill Withers が歌った "Lovely Day" はBillboard R&B Chart の最高6位となり Skip Scarborough にとっても代表曲となりました。

Skip Scarborough は2003年、58才の若さで亡くなりました。
今回は、Earth, Wind & Fire 及び Kalimba Productions 以外の初期の曲から聴いていきたいと思います。


Some Of Your Time (Anita Poree-C. S. Scarborough) / The Attractions (1967)

Skip Scarborough が初期に書いたソウルバラード。共作者の女性は Anita Poree は後に兄の Greg Poree と Black Magic に参加。The Friends Of Distinction などに楽曲を提供するソングライターとなります。


Oh, I'll Never Be The Same (Anita Poree-C. S. Scarborough-Bobby Sanders) / Young Hearts (1967)

同じく、Anita Poree、そしてこの楽曲のプロデューサの Bobby Sandersとの共作曲。この Bobby Sanders は1959年からシンガーとして活躍した人で、Little Anthony and the Imperials にも参加していた人です。


Love Or Let Me Be Lonely (Skip Scarborough-Jerry Peters-Anita Poree) / The Friends Of Distinction (1970)

Love Or Let Me Be Lonely (Skip Scarborough-Jerry Peters-Anita Poree) / Merry Clayton (1971)

1970年の The Friends Of Distinction のアルバム『Real Friends』収録曲。Skip Scarborough-Anita Poree チームに Jerry Peters が加わっています。しかしこのナンバーのアレンジは、Jerry Peters ではなく、Perry Botkin Jr. が担当しています。
翌年の1971年の Ode Records からリリースした Merry Clayton のアルバム『Merry Clayton』でこの曲が取り上げられました。プロデュースは Lou Adler が仕切りましたが、このナンバーは Jerry Peters がアレンジを担当。バックボーカルにも参加しています。


Love Can Make It Easier (Skip Scarborough) / The Friends Of Distinction (1973)

1973年のThe Friends Of Distinction のアルバム『Love Can Make It Easier』のA面1曲目。Skip Scarborough 単独クレジット作品で、心地よいソウルバラード。ボーカルアレンジは Skip Scarborough。アレンジはソウルミュージックの次世代を担うことになる David Crawford です。


Love Ballad (Skip Scarborough) / L.T.D (1976)

1976年に L.T.D. が A&M Record からリリースしたアルバム『Love to the World』からシングカット、Billboard R&B Chart の最高1位を記録したソウルバラード。ボーカルは後にソロ活動を行う Jeffrey Osborne。


Lovely Day (Bill Withers -Skip Scarborough) /Bill Withers (1977)

1977年、Bill Withers と共作し Bill Withers が歌った "Lovely Day" はBillboard R&B Chart の最高6位となりました。心地よいリズムに力の抜けた Bill Withers のボーカル。アレンジを手掛けた Clarence McDonald は Deniece Williams や The Emotions も手掛けた Kalimba Productions に近い人でした。


No One Can Love You More (Skip Scarborough) / Phyllis Hyman (1977)

1977年の Phyllis Hyman のアルバム『Phyllis Hyman』収録曲。楽曲プロデュースは、同じ釜の飯の Jerry Peters 。Skip Scarborough もキーボードとして参加。抑制の効いたソウルバラードです。


It's Alright With Me (Skip Scarborough) / Patti LaBelle (1979)

最後はミディアムテンポ調の乗りの良い曲を。1979年の Patti LaBelle のアルバム『It's Alright With Me』は全編、Skip Scarborough がプロデュースしたアルバムとなりました。Skip Scarborough は時代に合わせコンテンポラリーな楽曲を作り続けた職人だったと思います。


(富田英伸)