ドジャースとランディ・ニューマン
2024.11.23
I Love L.A.
Randy Newman
Trouble In Paradise (1983)
まずは8月に大谷選手が「40-40」をサヨナラ満塁ホームランで達成した瞬間です。
大谷選手が2塁ベースを回るあたりで、スタジアムにギターの強いイントロが流れます。
続いて10月のワールドシリーズ第1戦、フレディ・フリーマンのこれもサヨナラ満塁ホームランのシーンです。
こっちはフリーマンが1塁に達する前から曲が始まってます。
この曲はランディ・ニューマンの "I Love L.A."。ドジャース・スタジアムで、ドジャースが勝利すると必ずかけられます。ランディの "I love L.A.!" に観客が "WE LOVE IT!" とレスポンスします。
しかし、ランディ・ニューマンに元気な野球アンセム?なんだか合わないですよね。
念の為にランディ・ニューマンはというと、映画音楽の大作家で、そもそも懐かしいメロディーとひねりの効いた歌詞におとなしい歌声のシンガーソングライター。とても野球のアンセムをシャウトする人とは思えません。どうしてこの曲が誕生したのか。
"I Love L.A." は、Randy Newman の1983年の作品です。80年代のロックサウンド (ようするにTOTO) と、派手な女とオープンカーでドライブする歌詞。ランディ・ニューマンですから、LAを皮肉っているのかな、とも思います。
この曲を作ったきっかけは、Don Henley から「ロスアンゼルスの曲を書いたら?」と言われたから。そこでランディが思ったのは、ニューヨークへのうらみ。ニューヨーク・東海岸から歴史的にあった西海岸をさげすむ感覚へ、アンサーソングを書きたかったとのことです。
実は "I Love L.A."には、8小節の導入部があり、ここでニューヨークを思い切りDisっています。ランディの頭の中には、Richard Rodgers & Lorenz Hart 作のスタンダード "The Lady is a Tramp" があったそう。この曲にはカリフォルニアをからかうくだりがあり、それをもじって東海岸への悪口のイントロを作ったとのこと (シカゴも巻き添えになっています) 。ようするにランディはロスアンゼルスはいいところだと思っていて、斜には見てるけど、その気持ちが広くロスアンゼルスに受け入れられたということでしょう。
「自分にとってもっと意味ある曲は他にもあると思う。でもまあ、この曲もありがたく受け入れるよ。曲の皮肉をちゃんと理解してくれている人もいると思う。オープンカーに乗ってフリーウェイを時速70マイルで走っている時や、プレイオフゲームでこの曲を歌っている時はそうじゃないかもしれないけどね。でも、曲のトーンは伝わっていると思う。みんなこの曲を歌う時に笑顔になっている。わかってくれてるなら、それで十分だよ。」
出典 Randy Newman: Why I Wrote ‘I Love L.A.’https://lamonthly.org/2023/08/15/randy-newman-why-i-wrote-i-love-l-a/
来シーズン、ドジャースの開幕戦は日本で行われます。東京ドームにランディ・ニューマンは響くか楽しみです。
(たかはしかつみ)