クリスマスの曲をオリジナルで聴いてみよう
2024.12.16
今回は企画もので、クリスマスの曲を (できる限り) オリジナルで聴いてみようという特集です。
このクリスマスが近づくと、街中からクリスマスソングが流れてきます。その多くがインストだったり、有名シンガーが歌ったものだったりなかなかオリジナルのバージョンで聴く機会が少なくなりました。
そこで今回はクリスマス曲をできる限り、オリジナルもしくはオリジナルに近いものを聴いていただければと思います。では早速。
Have Yourself A Merry Little Christmas (Ralph Blane-Hugh Martin) From "MEET ME IN ST. LOUIS" / Judy Garland (1944)
ブロードウェイミュージカルで活躍した Ralph Blane-Hugh Martin が書いた曲。2人にとって転機となったのが1944年のミュージカル映画『若草の頃』 (MEET ME IN ST. LOUIS) の挿入歌でした。主演のジュディ・ガーランド (Judy Garland) が歌った "Have Yourself Merry Little Christmas" は多くのシンガーによって歌い継がれ、クリスマス季節に欠かせない楽曲となりました。この作品からは彼らのもう1つの代表曲である "The Trolley Song" も生まれています。
The Christmas Song (Robert Wells-Mel Tormé) / Nat King Cole Trio (1946)
ピアニスト、シンガーの Mel Tormé と映画やテレビの脚本などを書いていた Robert Wells が作った曲で、"Chestnuts Roasting on an Open Fire" など副題が付いて紹介されたりします。2人はとても暑い日にこの曲を書いたそうです。初出は Mel Tormé ではなく、1946年のThe Nat King Cole Trio でした。
Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow! (Jule Styne-Sammy Cahn) / Vaughn Monroe And His Orchestra With The Norton Sisters (1945)
これも暑い夏の最中に書かれた曲。Jule Styne と 作詞家 Sammy Cahn は真夏の7月、熱波の中、涼しさを熱望して2人はこの曲 "Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!" を書きました。その年に Vaughn Monroe がこの曲をレコーディング。これが大ヒットとなります。このバージョンではコネチカット州出身の女性コーラスグループ、The Norton Sisters と一緒に歌っています。
"クリスマスに世界一ツイてない男" が登場する1988年の映画『ダイ・ハード』 (DIE HARD) のエンディングにこの曲が流れてきます。
The Christmas Waltz (Jule Styne-Sammy Cahn) / Frank Sinatra (1954)
もう1曲、Jule Styne が真夏に書いたクリスマスソングを。1954年頃、フランク・シナトラ (Frank Sinatra) から新曲の依頼があった時、Jule Styne と Sammy Cahn はクリスマスソングにワルツ調がないことに気づきました。それで2人はワルツ調のクリスマスソングを書き、フランク・シナトラに手渡ししました。楽曲の依頼があったのは真夏で、 "Let It Snow" 同様、2人はこの曲も真夏に書いたとのことです。真夏に書かれたクリスマスソング。1954年のフランク・シナトラ (Frank Sinatra) が Capitol Records からリリースしたシングル "White Christmas" のB面のために書かれた曲。シングルでは Nelson Riddle がコンダクトを務めました。
I Saw Mommy Kissing Santa Claus (Tommie Connor) / Jimmy Boyd (1952)
1952年、13才の Jimmy Boyd という少年が歌ったものがオリジナルとされています。元々は百貨店のクリスマスカードの宣伝のため流されていたCM曲とのことです。母親がサンタクロースにキスをするという内容の詩は当時、カトリック教会からクレームがついたそうです。曲を書いた Tommie Connor という人はイギリス人で、他にも "The Little Boy that Santa Claus Forgot" の詩も手掛けています。『続・夕陽のガンマン』 (英題:The Good, the Bad and the Ugly、1966) の Ennio Morricone 曲の "The Story of a Soldier" の英語詩を書いたのもこの人だそうで、これにはびっくり!です。
Sleigh Ride (Leroy Anderson) / The Boston Pops Orchestra (1949)
1948年に Leroy Anderson が書いた曲で、初演は同年、Arthur Fiedler が指揮する The Boston Pops Orchestra 。翌年に録音され、市中に出回り、ホリデーシーズンになると街中、商店街やデパートで流されるようになります。
この軽快な曲を聴くと誰もがクリスマスが近づくワクワクした気分になります。
* Leroy Andersonについては 『Winter Song Special 2002』 (たかはしかつみ) を参考にさせていただきました。
(富田英伸)