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フォークを基調にした美しいボーカルハーモニー、Starland Vocal Band

2025.02.02
Afternoon Delight

Afternoon Delight

Bill Danoff

(1975)

#Songwriter

Songwriterシリーズ
今回は Bill Danoff という人を取り上げたいと思います。

Bill Danoff は Starland Vocal Band は1970年代中期に結成された Starland Vocal Band のリーダーで1975年12月にリリースしたシングル "Afternoon Delight" は翌年、US Billboard Hot 100 の1位になり、1977年にはグラミー賞4部門にノミネートされ、最優秀アレンジメント賞と最優秀新人賞の2部門を受賞。その後多くの人に愛され、ゴールドディスクとなりました。

Afternoon Delight (Bill Danoff) / Starland Vocal Band (1975)

このシングルは John Denver が興したレーベル Windstar Records からリリース。プロデューサーには Peter, Paul and Mary や The Brothers Four、Laura Nyro などを手掛けてきた Milt Okun が就き、サウンド面で Phil Ramone がエンジニアとして支えました。ストリングス・アレンジは David Matthews、途中の印象的なスチールギターは Danny Pendleton です。この曲の魅力は何といってもその晴れやかな美しいボーカル・ハーモニーです。エンディング辺りでスタッフが "Yeh!" と腕を振っているのも頷けます。

Starland Vocal Band のメンバーは Bill Danoff とその奥様の Taffy Nivert、そして Jon Carrol と Margot Chapman の4人。Jon Carrol と Margot Chapman はこのグループに参加して初めて出会い、この2人も後に結婚します。




Bill Danoff は1946年。マサチューセッツ州スプリング生まれ。1960年後半に 将来の奥様となる Taffy Nivert と一緒に Fat City というデュオグループを結成し2枚のアルバムをリリース。結婚してからも Bill & Taffy Danoff のグループ名でも2枚のアルバムをリリースしています。

Bill Danoff は Taffy Nivert の実家まで一緒に車を走らせている時、思いついたメロディーを John Denver の前座を担当していた時にライブで披露。John Denver はそのメロディーがとても気に入り、翌日早朝に2人のアパートに出かけ、3人で仕上げた曲が "Take Me Home, Country Roads" でした。

1971年に "Take Me Home, Country Roads" を録音。プロデュースに Milt Okun と Susan Ruskin。Eric Weissberg がバンジョーとスチールギター、Gary Chester がドラムス、パーカーション、そして Bill Danoff と Taffy Nivert がバッキングボーカルを担当しました。US Billboard Hot 100 の2位、その後多くのカバーもリリースされ、世界的なヒットに繋がります。
John Denver 、そして Bill Danoff と Taffy Nivert の3人で一緒に歌った映像が残っています。

Take Me Home, Country Roads (Bill Danoff-Taffy Nivert-John Denver) / John Denver 、Bill and Taffy Danoff (1971)

Bill Danoff はその後も John Denver へスタッフライターとして楽曲を提供。1970年中期にサポ―トメンバーとして一緒に演奏してきた Jon Carrol と女性ボーカルリスト Margot Chapman を誘ってボーカルハーモニーを全面に押し出したグループ、Starland Vocal Band が誕生しました。




Bill Danoff がこれまで作ってきた楽曲をいくつか聴いていきたいと思います。


I Guess He'd Rather Be in Colorado (Bill Danoff-Taffy Nivert) / John Denver (1971)

I Guess He'd Rather Be In Colorado (Bill Danoff-Taffy Nivert) / Fat City (1972)

1971年、John Denver のアルバム『Poems, Prayers & Promises』への提供曲。Bill Danoff と奥様の Taffy Nivert の2人はバッキングボーカルとしても参加しています。"Take Me Home, Country Roads" はこのアルバムに収録されています。プロデューサーは Milton Okun です。
翌年、その Milton Okun のプロデュースで Bill Danoff とTaffy Nivert の2人ユニット、Fat City 名義でアルバム『Welcome To Fat City』をリリースし、この曲をカバーしました。この頃の John Denver にとって2人はとても大切な音楽仲間でした。


Flyin' Home to Nashville (Bill Danoff-Taffy Nivert)

1973年、2人が Bill and Taffy 名義でリリースしたアルバム『Pass It On』より。この頃2人は結婚したようで、Taffy Nivert は Taffy Danoff と名乗るようになります。プロデュースは2人と Carolyn Hester の夫であった Dave Blume 。


Boulder to Birmingham (Bill Danoff-Emmylou Harris) / Emmylou Harris (1975)

1975年、Emmylou Harris のアルバム『Pieces of the Sky』収録曲。Emmylou Harris との共作曲で、初期の彼女の代表曲となりました。後に Starland Vocal Band の他、Dolly Parton、Joan Baez 、The Walker Brothers などもこの曲を取り上げました。


Baby, You Look Good to Me Tonight (Bill Danoff) / John Denver (1976)

1976年、John Denver のアルバム『Spirit』収録曲。バッキングボーカルには Starland Vocal Band と明記されており、Bill Danoff が Starland Vocal Band を結成してからも John Denver とはいい関係が続いたのだと思います。




Take Me Home, Country Roads (Bill Danoff-Taffy Nivert-John Denver) / Olivia Newton John (1973)

カントリー・ロード (Bill Danoff-Taffy Nivert-John Denver 日本語訳詞:鈴木麻実子 補作:宮崎駿) From "耳をすませば" / 本名陽子 (2004)

最後に "Take Me Home, Country Roads" の2つのカバーバージョンを。Olivia Newton John が歌った "Take Me Home Country Roads"、冒頭に大サビを持ってきてゴスペル風に大勢で歌うこのバージョン、こっちの方がしっくりいく人も多いと思います。アニメーション映画『耳をすませば』 (2022年) の挿入歌などはこの Olivia Newton John のバージョンの方に習っているようです。

* Starland Vocal Band

(富田英伸)