1980年3月5日に発売された3枚目のアルバム。発売1週間目で、1位を獲得。シングル・ヒットの「不思議なピーチパイ」、「SEPTEMBER」を含む全11曲が、切なくて、温かくて、優しくて・・・。彼女の引き出しの多さがわかるバリエーション豊かな1枚に仕上がっている。
プロの作詞家が作った曲を、自分なりに歌うシンガーに徹する顔と、自分が選んだ言葉から連想される絵はこうであってほしい、という願いを伝えようとする、ソングライターとしての2つの顔が見え隠れする。
このアルバムは、文字通り1曲1曲が、恋人へ、友人へ、子供たちへ素直な愛を伝える歌の集大成なのである。いろいろなタイプの曲が入っていて、少し雑多な感じがするかもしれない。でも、人が百人いれば好きな歌が百通り選ばれていいはずである。
この時期、歌謡番組に出たり、芸能人運動会に出たりという「アイドル歌手」に近かった姿と、「自分のやりたいものはこうです」と、作曲陣に山下達郎、加藤和彦、杉真理、安部恭弘らを推すことで自己主張をする「アーティスト」の姿のジレンマに悩み、つじつまをどこで合わせようと思っていたようでもある。
「五線紙」を聞くたびに、学生時代に戻って、あの頃、出会った数多くの友人に連絡を取ってみたくなる。「変わらぬものがあるとしたら、人を愛する魂(こころ)の五線紙さ」と歌う彼女。シンプルな曲ゆえに、魂(こころ)に響く。心を打つ。この曲を聴くと、昔懐かしい友人の顔が浮かんできませんか?。
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