前作より9ヶ月後の1980年12月に発売された通算4枚目のアルバム。LPのA面に当たる前半5曲はL.A.Sideとしてデビッド・フォスターらを始めとする、L.A.を代表するミュージシャン達のバックアップによる海外レコーディング。RCA時代としてはとりわけAORテイストの濃い仕上がりとなっている。一方B面に当たる後半4曲は
Tokyo Side として国内でのレコーディングになるが、都会的なサウンドを目指す方向性は共通する。
デビュー・アルバムから海外レコーディングに取り組んできた彼女であるが、本アルバムでは曲作りまで含めてのデビッド・フォスターらの起用や4曲の英語詞のせいもあってか歌謡曲色が薄く、当時としてはやや異色の作品であるといえるかもしれない。そこにはアイドルからの脱皮を図ろうとする意図が見え隠れする。しかしシンガーとしての力量は遺憾なく発揮し、はつらつとした歌声を聞かせてくれるのはうれしい。彼女の大人びたアルトの声質はアイドル・シンガーとしてよりもこうしたAOR的な楽曲によく似合う。
デビッド・フォスターの手がけた曲は日本でもヒット曲が多く、日本人好みのサウンドを作るため国内でも彼のファンは多い。彼は尾崎亜美、河合奈保子、松田聖子らのプロデュース、アレンジも手がけているがそんな彼が最初に手がけた日本人女性シンガーは何を隠そう竹内まりやである。
いわゆる大ヒット曲が収録されていないため、やや地味な印象があるアルバムだが、収録された9曲中5曲に竹内まりや自身が曲作りに関わっていたり、従来の音楽性とは別の方向性を探るなどその後の彼女自身の音楽的キャリアにとって重要な位置を占める作品であるといえよう。
一方、山下達郎にとってもいくつかポイントとなる出来事があった。「エヴリ・ナイト」はアラン・オディと達郎との初の共作曲であるし、彼自身のアルバムでも取り上げた、「Morning
Glory」は元々まりやのこのアルバムのために書いた曲である。
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