まりやの綴る歌の世界には、日常の穏やかな暮らしがあふれている。そして、さりげない言葉の中に込められている、神髄を突いた歌詞に、思わず「そうそう!」と相槌を打ってしまうのである。日々の単調な暮らしがステキに見えてくる、本作はそんな元気をくれる1枚である。
全曲作詞・作曲を開始して3作目、前作から5年、“シンガーソング・専業主婦”まりやは自然な形で曲を書き溜めてきた。ある時は、ポータブル・キーボードを洗面所に置いて育児をしながら、そんな時間も楽しみながら曲を書く。普通の暮らしから生まれた言葉やメロディ。「達郎がどういうアレンジをしてくれるのかが楽しみ」というまりやの曲は、実にバラエティに富んでいる。
少し冷めかかった夫婦の心暖まる心情を写している、TVドラマ「木曜日の食卓」の主題歌「家に帰ろう」。軽やかなシャッフル・ビートで女の友情を歌った「Forever
Friends」。ガット・ギターの刻みが柔らかな、ボサノバ・タッチの「After Years」。故、岡田有希子に書いてセルフカヴァーした、まりやの“黄金の6/8”の「ロンサム・シーズン」など。そしてタイトル曲「Quiet
Life」で、都会に住む者のどこかペシミズムに陥りがちな心を、大らかに包んでくれる様な壮大なコーラスに、いつしか癒されてゆくのである。
デジタル機材も質が向上し、バンドサウンドの生音録りが多くなっているのも嬉しい。ミリオンセラー獲得、'93年日本レコード大賞ベストアルバム賞受賞作品。(ゆみ) |