僕の中の少年

LD MOON28058 1988.10.19 MOON/ALFA
CD 32XM77 1988.10.19 MOON/ALFA
CD 38XG3 1989.9.10 MOON/ALFA(Gold Disk)
CD AMCM4124 1991.11.10 MOON/MMG(Remaster)
CD WPCV-10023 1999.6.2 MOON/WARNER

1.
新・東京ラプソディー
山下達郎 山下達郎
2.
ゲット・バック・イン・ラブ-Get Back In Love-
山下達郎 山下達郎
3.
The Girl In White
Alan O'Day 山下達郎
4.
寒い夏
竹内まりや 山下達郎
5.
踊ろよ、フィッシュ
山下達郎 山下達郎
6.
ルミネッセンス-Luminescence-
山下達郎 山下達郎
7.
マーマレイド・グッドバイ-Marmalade Goodbye-
山下達郎 山下達郎
8.
蒼氓
山下達郎 山下達郎
9.
僕の中の少年
山下達郎 山下達郎

昔、「僕はクリーム色が好き」と達郎は言ったことがあるが、そのクリーム色のジャケットにはポツンと置かれた自転車と達郎自身。加えて9枚目にして初めての日本語のタイトル。発売当時、どこか今までと違う印象を与えた本作は『Pocket Music』に続くデジタルレコーディングで、大部分がコンピュータによる演奏で制作された、達郎35歳の作品。
『Pocket Music』での試行錯誤を経て、よりクリアな音作りに成功した一作と言えよう。しかしながら、デジタル・レコーディング自体のテクノロジーが達郎の音楽についてきていないといった感も否めない。しかしこのアルバムには、達郎が40歳に向かっていくなかで、「今後ミュージシャンとしてどう生きていくのか、時代や年齢を超えて受け入れられる音楽とは何か・・・」という彼自身の思いがつまっている。そしてこの問いかけに答えるかのような「蒼氓」をはじめ、自分自身の少年性がやがては子供へと受け継がれていくといった青春への訣別を表明したタイトル曲の「僕の中の少年」、静かな別れの悲しみに満ちた「寒い夏」など、パーソナルな心情をつづった一連の達郎作品として、最も内省的な異色のアルバムであると同時に『Melodies』以来続いてきたシンガー・ソングライター的なアプローチの集大成でもある。
少年時代のノスタルジーあふれる1曲目の「新・東京ラプソディー」から聴き始めてラストの「僕の中の少年」までたどりついた時、徐々に消えていく小太鼓のリズムに、私はどこかで見た写真の中、中学生の小さい体で大きいドラムを叩く達郎少年の姿を思い起こす。
彼が幼い頃から抱えてきた音楽へのあふれる想いが、子供たちへ、そして私たち達郎フォロワーズの中にも脈々と流れて、永遠と続いて行く様に知らず知らず目頭が熱くなるのだ。(岡本恵)

 

back