シュガー・ベイブ『Songs』、『Niagara
Triangle Vol.1』に続く、1976年発表のソロ・デビュー・アルバム、『Circus Town』は単身渡米の海外録音となった。
A面のニューヨーク録音では、フォー・シーズンズなどのアレンジャーで知られる、チャーリー・カレロにすべてを託し、ニューヨークのメディア・サウンド・スタジオを中心に活躍しているミュージシャンを起用。またB面のロスアンジェルス録音では、イクイノックス・レーベルに関係が深い、ジミー・セイター、ジョン・セイター兄弟がプロデュース。バック・コーラス・アレンジは、達郎とMFQのジェリー・イェスター。また、シュガー・ベイブのメンバーのお気に入りだったフィフス・アベニュー・バンドのケニー・アルトマンが参加しているのも興味深い。
このアルバムをこういった人達に依頼したきっかけとなった海外のアルバムとして、達郎はフランキー・ヴァリの『Closeup』(Private Stock)、とバリー・マンの『Survivor』(Equinox)という2枚を挙げており、シュガー・ベイブの頃に較べてコンテンポラリーな音作りとなった。また、この時期から作詞で吉田美奈子が参加し、以降アルバム『For
You』まで、吉田・山下コンビによって色彩感あふれる世界を創り出すことになる。『Circus Town』は、街の喧騒、夕暮れの静けさ、体を通り抜ける風、陽の熱さ、こういったものを、今も褪せることなく僕たちの心に伝えてくれる名盤である。(富田英伸) |