1982年1月21日発売。前作『Ride
On Time』からは1年4ヶ月ぶりのソロ8枚目のアルバムである。シングル「Ride On Time」で人気を確実なものにしてレコーディングの環境も良くなり、かねてから達郎の念願であった「好きなだけ時間とお金をかけて」作られたアルバムでもある。鮮やかな鈴木英人のイラストのアルバム・ジャケットが示すように、心地よく開放感にあふれたポップスの集大成ともいえる仕上がりになっている。
すさまじいまでの演奏のグルーヴ、力強いボーカル、そして音質の良さは、1曲目の「Sparcle」で誰しも納得するはず。特に達郎愛用のブラウンのテレキャスターが奏でる気持ちの良いカッティングは、"鉄板ギター"の異名を拝するほどの完璧な出来映えと言える。
4月6日のまりやとの結婚を控えた人生の節目にリリースされたこのアルバムは当時80万枚のビッグ・セールスを記録し、達郎の人気を不動のものにしたが、達郎本人は、時代に迎合しすぎた音作り、自分の言葉でないために今一つ思いが表現できなかったことなどにより、どこか納得しきっていなかったようであり、これらの思いは次作『Melodies』により成就されていく。本人の評価がどうであれ、常に気持ちよい「癒し」の一時を与え続けてくれるこのアルバムは、私にとって永遠にマスト・アイテムなのである。(福田博樹) |