伊藤銀次、大滝詠一との競作となった本作は、ナイアガラ・レーベルがディストリビューターをコロンビアへ移しての最初のアルバムでもある。すでにシュガー・ベイブは解散が決まっており、事実上達郎のソロワーク1作目となる。本作での達郎の曲は意識的にシュガー・ベイブのバンド・サウンドとは違った音作りになっている。
達郎サイドの曲は、「ドリーミング・デイ」、「パレード」、「遅すぎた別れ」、「フライング・キッド」の4曲。「幸せにさよなら」のシングル・バージョンでは3人が交互に歌っている。「ドリーミング・デイ」での、ナイアガラ・サウンドを意識し、自らの歌唱力に挑戦するような歌は注目。シングル向けに作られ、シュガー・ベイブのライブでは定番の人気曲だった「パレード」は、結局シュガー・ベイブのアルバムには収録されず、アレンジを変えて本作に収録された。この曲は、その後「ひょうきん族」や、「ポンキッキーズ」などでも使われ、長く愛される曲になった。
アルバム発売当時この曲の2番の歌詞は誤植で、"黄昏時を飾る街に"だったが、95年の再CD化で"黄昏時を飾るマーチに"に直された。また、「遅すぎた別れ」ではエンディング間際に出てくる、駅のホームの効果音を当時事務所があった京王線笹塚駅で収録している。「フライング・キッド」は、達郎−美奈子コンビの第一号の曲。この曲は達郎曰く「歌詞カードを見ながら聴いてもらいたい」とのことだが、後半の"待っている朝を見つけた"は"待っている朝を見つけに"が正しい。「歌詞が間違っているとなんにもならない」、と言っているわりには、いまだに訂正されていない。全体的に、ナイアガラ・レーベルらしく遊び心満載の楽しいアルバム。(笹川健一) |