It's The Time Of The Year
Teresa Bright
2000 " Christmas Season's Delight " Dreamsville YDCD-0042/CD





 「Teresa Bright がいかにキャパの大きな、そしてハートウォーミングなヴォーカリストであるかを、たくさんの人に知ってもらいたい」。このアルバムを聴いて真っ先にわたしはそう思いました。クリスマスの荘厳さと、暖炉の火を家族で見つめている時の心と体両方の暖かさ、そしてハワイの湿った風の中のクリスマス・シーズンの雰囲気が一枚で味わえる楽しさ。今年の冬はこのアルバムもぜひローテーションに加えてくださいね。賛美歌あり、スタンダードなクリスマス・ソングあり、Ray Parker Jr.のペンによるクリスマス・ソングなども入っているんですよ。
  「It's The Time Of The Year」は、Dwight Kanoe というハワイの人の作品です。クリスマス・ソングとして定番になり得る要素って、メロディが親しみやすいこと、クリスマスの情景・心情などが歌いこまれていること、そして何より気品があることではないかと思うのですが、この曲はそのどれもが当てはまる名曲です。きっと次代に歌い継がれる一曲となるでしょう。
 彼女の歌声を聴いていると、身も心も洗われる気がします。ヒーリングというと流行りもののようでいやなのですが、Karen Carpenter とも共通するような心に沁み渡る歌声の持ち主です。神様が宿っているに違いないテレサの歌とともに、おだやかな冬の一日を過ごしてみてください。


(なかのみどり)


12月のエイプリルフール
EPO
1986 " PUMP! PUMP! " MIL-1016/LP
 わたしの若い友人で、この曲が大好きな人がいます。彼女はリアルタイムで知るような年齢ではないのですが、「この曲を聴くと泣きそうになる」と言います。女の子が片想いの恋愛を失っていくときの心の移ろいを歌い上げた、EPO の曲の中でも秀逸なバラードであり、12月に入ると必ず何度も聴いてしまう曲です。ごく普通の女の子の気持ちの澱をすくい上げて歌にすることがとても上手な EPO ですが、この曲を作ったときは精神的に非常に苦しい時期だったと後になって知ったとき、なんとも切なくなりました。
 佐藤博のアレンジが曲に合っているのも好きな理由かも知れませんが、ともかく EPO の歌唱の素晴らしさを味わってほしいと思います。失恋して、どうしようもなく切なかった気持ちをかつてわたしも持っていたことが懐かしく思い出されて、甘酸っぱくなっちゃうなかのです。

(なかのみどり)
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