冬の歌、クリスマスの歌の定番というといろいろありますが、1934年に
Felix Bernard と Richard Smith の2人が作った「Winter Wonderland」も さまざまなミュージジャンに歌われ、また演奏されています。
多くのジャズ・ミュージシャンも取り上げていますが、私が好きなのは Red Garland Trio の作品です。
Red Garland は、そのピアノの音色を一度耳にしたら、忘れられないジャズ・ピアニストだと思います。超絶なテクニックの持ち主でも、前衛的なびっくりマークだらけのピアニストでもないのに、聞き惚れてしまうのです。ジャズに詳しい方には
「耳たこ」でしょうが、1955年と1958年に一番、脂が乗っていた(いわゆるマラソン・セッショ ン) Miles Davis のグループに参加、その後、自分のトリオを有し、洒脱で、軽妙なピアノ・トリオのアルバムを多く発表し、特に日本では多くのファンを魅了している ピアニストとして有名です。
Red Garland の弾んだピアノの音で始まる「Winter Wonderland」。いつにまにか歌詞を 口ずさみたくなる軽快さ。西田敏行ではありませんが、「もしもピアノが弾けたな
ら」と思わせるピアノに、心がウキウキ、気持ちも弾みます。間奏の Paul Chambers のボゥイング(弓で弾かれる)ベースも心憎い味付けになっています。エンディングでは、「Jingle
Bell」のワン・フレーズのおまけつきも遊び心満点で微笑ましいです。
Chick Corea、Keith Jarrett などのジャズ・ピアノにはないくつろぎとゆとりを感じさせます。よく彼はカクテル・バーのピアニストと揶揄されますが、彼の持っている
ピアノの音色にくつろぎや、ほっとするものがあるのを感じるのは私だけでしょうか。 この曲が入っている「All Kinds Of Weather」は、タイトルが示すように、天候に因んだ大有名曲(例えば「Summertime」)がずらり並び、Red
Garland のピアノ・トリオのアルバムの中ではもっとも聴きやすく、入門にはうってつけのアルバムとしてお勧めします。
|