Christmas Is My Favorite Time Of Year
Roger Nichols And A Circle Of Friends
1995 " Be Gentle With My Heart " トイズファクトリー TFCK-88954 / CD
 知り合いのアメリカ人に聞くとクリスマス・ツリーを飾ってクリスマスの準備を始めるのは感謝祭が終わってからだとか。そこいくと日本のクリスマス・シーズンのスタートのなんと早いことか。我が家もご多分に漏れず毎年11月初旬には早々とクリスマス・ツリーを出すのが年中行事で、その時には必ずクリスマス・ソングをかけながらというのが習慣になっています。今年は庭にファッツアルバートというカナダ原産の針葉樹を植えました。クリスマス・ツリーのようなその木を早速ライトアップしました。まだ僕の背丈ほどのその木の一角だけが寒いカナディアン・ロッキーのような気がして雰囲気も盛り上がっています(笑)。ゆっくりと成長するこの樹にいつのクリスマスにも飾り付けが出来るように静かに祈ります。
 さて、ツリーを飾る時に無意識のうちに何度もかかるアルバムがいくつかあって、これもその一枚。数年前にこのアルバムが店頭に並んだ時アーティスト・クレジットを見て、驚くと同時に喜ばれたファンも多いのではないでしょうか。Roger Nichols And "A" Circle Of Friends として発表された彼らの実に28年ぶりの新作だったのですから。そしてその内容はこの季節に聴くにふさわしいしっとりと暖かいものでした。Roger Nichols の作曲家としての長いキャリアを辿るかのように、きら星のような名曲が並びそして彼が依然現役の作曲家であることを認識させられる書下ろしの曲がその旧作の間を何の違和感もなく埋めていきます。旧作のセルフ・カヴァーと新作が交差するまさに彼の集大成的な内容であり、作為的なところのないオーソドックスなアレンジが曲のすばらしさを引き立てています。

 多くは Sheila O'Connell-Roussell という艶のある女性ヴォーカリストによって歌われています。「Rainy Days & Mondays」では旧友 Paul Williams がゲスト・ヴォーカルで参加。Carpenters に書いた「We've Only Just Begun」、「Rainy Days & Mondays」、「I Won't Last A Day Without You」や「The Drifter」といった彼の代表作はいつ聴いても心に染み入る名曲ですが、新曲も基本的にはその延長線上にあり、自らも歌っている「You Took Me By Surprise」、アルバム・タイトル曲の「Be Gentle With My Heart」は旧作に劣らない美しい曲です。そして最後を飾るのがこの「Christmas Is My Favorite Time Of Year」。
 クリスマスの夕方ごろからプレイするとほんのりと暖かさが増してきます。流行とか最先端とは一切無縁のこんな音楽が心に灯りをともし続けてくれるのです。


(脇元和征)



We Need A Little Christmas
The New Christy Minstrels
1963/1966/2001 " Christmas With The New Christy Minstrels " Sony A053389 / CD

 「グリーン・グリーン」をはじめて聴いたのは確か小学校5年生の音楽の時間だったと記憶しています。子供心にもこの曲の持つ垢抜けたメロディは、音楽の時間に歌うほかのどの唱歌よりも明るくてしゃれていて歌っていて一番楽しかったことを覚えています。
 「Eve Of Destruction」をはじめて聴いたのは、多分高校2年生ぐらいだったと思います。核戦争による地球の危機というセンセーショナルな内容が無骨なヴォーカルで浪々と歌われるこの曲のことに、正直まだぴんと来るものはなかったように思います。
 この「Green Green」を作曲し「Eve Of Destruction」を歌った Barry McGuire が在籍していたことで知られる フォーク・グループの The New Christy Minstrels・・・、ということを知るのは更にもっと後のことであったと思います。彼らの名前を見かけるとまずはそのことを真っ先に思い出すので、この稿を書き始めるにあたって実はこっそり「グリーン・グリーン」が娘の学校の歌本にもやっぱりちゃんと収録されているのを確認してちょっとほっとしたりして。
 しかし、まったくの余談ですが「Eve Of Destruction」は東西冷戦下にヒットした曲ではあるのですが、21世紀の世界においてなおこの曲がリアリティを失わないのは本当に悲しいことです。クリスマスに平和を祈る必要がないくらいに世界が平和であって欲しい。そしてそのために人類の叡智が結集されることを願います。
 昨年末にオーダーしていたこのCDが到着したのが正月も明けてしばらく経ってから。一年をひっそりとCDラックで過ごしていたので満を持しての登場です。
 このアルバムは彼らの2枚のクリスマス・アルバムと未発表曲を詰め込んだボリュームたっぷりの内容。いつものバンジョーの軽やかな調べとこれまたいつものイノセントなシングアウトにスレイベルを足してみたら出来たような、"西海岸の歌声喫茶的クリスマス"。ほんとパーティーにはうってつけの楽しいアルバムです。

(脇元和征)

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