Frank and Nancy Sinatra

Somethin' Stupid

1967/2002 "Romance" Warner Music Japan WPCR-11241-2/CD





 今年の新春放談、大滝さんからのお年玉は「デュエット」、しかも2本の大サービス。小泉今日子との「快盗ルビィ」と、竹内まりやとの「Somethin' Stupid」。
 まずは、昨年組まれたキョンキョンのベストにボーナスとして収録された88年作の「ルビィ」。当事は大滝さんの吹込みがあるとは知りませんでしたが、残っていた「仮歌」を使っての合成デュエット。現役の歌手が当事の音を使ったデュエットというのも珍しいと思いますが(Nat King Coleじゃないんですからねぇ)、運命のお導きによるリリースというエピソードが放送で披露されました。
 一方2002年末の夫婦放談で披露された「Stupid」は、67年 Frank と Nancy Sinatra の親子による全米第一位獲得の大ヒット曲。大滝さんとまりやさんのデュエットは、もちろん歌い下ろし。大滝さんにとって97年の「幸せな結末」以来の5年ぶり吹き込みだそうで、しかも二人の同時録音。なにより「歌手」大滝詠一ファンの一人としては大変感激いたしました。


 大滝詠一のデュエットというと、「ももんが」(71年細野さんと『風街ろまん』にて)、シリア・ポール(77年「The Very Thought of You」、「Whispering」)、Everly Brothers(81年山下達郎と「サウンド・オブ・ポップス」で)、などと色々あるものですが、今回の2曲はそれぞれに特徴がありました。「ルビィ」は交互に歌う掛け合いタイプで、「Stupid」は二人のハーモニーが続くオーソドックスなタイプ。掛け合いというと初々しいもの(「ポールとポーラ」)とか色っぽいもの(「Je t'aime moi non plus」Gainsbourg & Birkin)なんてのが思い浮かびますが、どっちでもないと上司と女子社員のカラオケというハガキもわからなくはないといいますか。一方ハーモニータイプのヒット曲も山ほどありますが、みなさんはどんな曲が好きですか?ぼくはSinatraの兄貴分 Bing Crosbyのデュエットなんて大変に好きです。この「Stupid」は大滝さんが主旋律でまりやさんが、抑揚の少ない旋律をしっかり歌い、二人の音域も相応しくよかったですね。良いハーモニーは互いの力を引き出すものです。
 本作「Somethin' Stupid」。このメロディーは、遊びたいさかりの Nancy にはおとなしすぎるし、父には歌い足らぬようにも感じられます。しかし Sinatra親子のハーモニーには感心します。やはりファミリーハーモニーは良い!の伝統はいきている。アレンジは Billy Strange。Hal Blaine ほかハリウッドの例の面々が支えています。この曲、もともとは作曲者の C. Carson Parks(Van Dyke Parksの兄)が Gaile Foote とのデュエットで吹き込んだもので、アレンジや全体の雰囲気も Sinatra のものとほぼ同じです(彼らの音源はCarson Parksのホームページで聞くことが出来ます)。当事 Sinatra は、スタンダードばかりでなく、ポップやフォーク畑からも地味な佳曲を見つけ出しては取り上げているのですが、その選曲のよさもマジックです。
ということで、前回に引き続いて、Sinatra さんのことをあまり語れませんでしたね。このベスト盤は Reprise 時代のヒット曲を中心にいい曲そろってお勧めです。そうそう「Somethin' Stdupid」のカバーは英国の「香取慎吾」Robbie Williams がNicole Kidman と組んだものも必聴。収録アルバム(『Swing When You're Ready』2001)全体が Sinatra 一家へのオマージュです。

(たかはしかつみ)





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