第1回 : 上柴とおるさん |
-確か82、3年頃に Richard "Dimples" Fields のアルバムでもライナーをお書きになっていらっしゃいました。
ああ、ありましたね。同じ流れで書いたんですよ。今CD化されてるんですかね、Boardwalk レーベルだからまだされてないんでしょうね。どちらかというとAORに近い感じでしたけれどもね。あと Cuba Gooding とかね。黒い Boz Scaggs なんて言われたりしてね。好きですよ、今でも。 -詳しくない分野とか知らないアーティストの解説を頼まれることもあるんですか? |
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『Soul Survivors』 |
-Soul Survivors のライナーもお書きになっていらっしゃるそうですが、これは意外でした。
そうですか?これはリアル・タイムで、60年代当時から大好きなバンドでした。当時日本では誰も騒いでませんでしたね。黒っぽいかっこいいサウンドやるなあと思って。74年にTSOP レーベルから出た3枚目のLP の解説を書かせてもらいました。 -これ日本盤出ていたんですか? -今年はCD化されるという噂を聞きましたが。 -去年、Full Moon がCD化されてかなり話題になったのでその流れというのもあると思うんですが。 |
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-Rascals からの流れですね。
そうですね、Soul Survivors はフィラデルフィアの Rascals なんて言われてましたからね。みんな同じ流れですよね。 彼らのレコードでは Atco 盤が海外でもCD化されてないんですよね。だから、このうちの何曲かは僕が選曲・監修で関わった『Atlantic Blue Eyed Soul Collection』というアルバムに入れさせてもらったんですよ。彼らの曲をCD化したいがための企画だったんです(笑)。 -そいうふうにして企画されたものの中で印象に残っているのは何ですか? Keith はね、いろんな人が話を持っていったんですけど「そんなの売れるか」みたいに言われてだめだったそうです。でも、私が行ったらすっと通ってしまって。これは運の問題かも知れませんかねえ。たまたま知り合いやったということで。 Spanky & Our Gang もCD化したかったんですが、それだけだとさびしいので、ついでに New Colony Six も入れて。自分がLPで持っているやつを全部CDできれいに聴きたいなあ、と。自分のためにやってるんです(笑)。 それから Jay & The Techniques ですね。自分で編集したかったんですけど、これは向こうの方からベストを出すのでそのまま出してくれということになって。 -Keith のCD化は画期的な企画でしたね。 |
『Atlantic Blue Eyed Soul Collection』 |
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『98.6 Best Of Keith』 |
-(山下)達郎さんもこれは「家庭に一枚」と番組で言っていました。
だから僕、彼を信用するんですよ(笑)。事務所に全6枚をお送りしました。 この Keith と Spanky & Our Gang はそこそこに売れたんですよ。 -Spanky もベストでしたよね。 一昨年VIVIDから一気に出ましたね。 結局ベスト一枚にしてくれといわれて、私が選曲しました。解説は旧知の増渕英紀さんにお願いしました。彼もミニコミ出身でね。 |
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-増淵さんは相当 Spanky がお好きなようですね。
「シングル・ヴァージョンとか、マニアックなやつ入れたの?」とか彼には聞かれましたね。でも日本でCD化は初めてだし、まずはステレオで、あのきれいなコーラスを聴いてもらいたくてマニアックにはしなかったんですけど。今思えば、マニアックな方がより売れたかもしれないなと思いますわ。 -CD化するときのジャケットってどうやってるんですか? 本当に誰も持っていない場合は担当ディレクターが中古レコード店を廻ります(笑)。 -CD化が果たせずに心残りな仕事もいくつかあったそうですが。 で、ようやく全部できあがったとたんに急遽中止になってしまったんです。達郎さんが選曲にいまいち納得がいかなくって、と。オリジナル楽曲がなかなか集まらないんですよね 。「それならこういう曲が良いんじゃないですか」って、僕の方からもアイデアを出したんですけど、時間的な余裕がなかったんですね。達郎さんのツアーが終わったばかりで、"達郎モード"ができあがっているうちに出したかったのではないか、と思うんですわ、ワーナーさんも。 東芝さんから原盤を借りようという件も同時進行してたんですけど、なかなかうまく事が運ばなくて。そのうちに東芝とワーナーが合併するという話になって、これはやりやすくなるなあ、と喜んでたら、合併中止(笑)。この企画は現在、浮いたままになっていますね。 それから『まかせて!ビージーズ』。これは私が仮にタイトルをつけたんですけど、 Bee Gees のカヴァー集です。担当者と一緒に選曲してライナーも書いたけど結局、おクラ入りになりました。営業で数字がつかなかったと聞いてます。 |
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『誰が一発屋やねん!』 |
-上柴さんの企画もので『誰が一発屋やねん!』という面白いタイトルのCDがありますがこれはどういうものなんですか。
このタイトルも私がつけたんです(笑)。いわゆる一発屋のコンピレーションで、60年代、70年代のものを中心にしたかったんですが、半分以上が80年代ですね。 -どういうアーティストが収録されているんですか? -硬軟取り混ぜていろいろとやってこられていますが、どうしてもやってみたいのが Dunhill の復刻だとか。 今それぐらいの需要はあると思いますが...マーケティングからみても悪くないと思うんですよ。Grass Roots もそこそこにはファンがいます。やっと96年にベストが出ましたけどね。 |
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-これは本国での権利関係で出せないとかそういうことではないんですか?
いや、これはもう担当者の気合いひとつかなあ。あとは売れるかどうか。タイアップがついているとか、そこそこ売れる要素がないと出してくれないですしね。 -Dunhill をせっせとcircustown.net で紹介したら少しは効果ありますかね(笑)。全くないでしょうね(笑)。 僕は1年前にパソコンを始めて、なんか手応えを感じています。バカにならない数字だと思うんですよね。欲しい人がいると思うんですよ。どう売るかというのはレコード会社の腕ですから、とりあえず出してみたらどうかと思うんです。 -私たちのようなホームページでも時々「見て買ったよ」っていう方がいるんですよね。 話がそれましたけど、Dunhill は何とかして出したいですよね。ポリドールにいた『まかせて!ビージーズ』とか『誰が一発屋やねん!』の担当者も今はユニバーサルミュージックのカタログ担当ですしね。彼は40代半ばですが、Dunhill が好きな人で、以前から「俺が担当だったらやるのに」とか言うてくれてたんですけど。できれば、レア・コレクションとかも出したいですねえ。 |
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