第回 : 森 勉さん |
『ザッツ・エンターテイメント』〜『ニュー・シネマ・パラダイス』 武蔵小山は映画のパラダイス 僕はこの武蔵小山という土地で生まれ育って今まできているんですけれども、僕が小さい頃は武蔵小山にいっぱい映画館があったんです。このあたりは昔は歓楽街だったんでしょうね。飲み屋とか料理屋とか、ビリヤード、卓球場、バッティング・センターからローラースケート場までありましたね。 -まさに歓楽街ですね。 映画館も8軒ぐらいあって、素敵な名前が付いていたんです。「南星座」とか「巴里座」とか、「プリンス座」、あと「バラ座」にちょっと大人の映画をやっていた「月光館」なんていうのもあったんですが、高校ぐらいの時にほとんどなくなっちゃいましたけどね。 小学校・中学校の時には近所にあったもんですから、しょっちゅう映画ばっかり観ていまして、それで日本モノも洋モノも含めて映画好きになったんです。小さいときに観ていたのは日本のものが多かったですね。中学に入ると音楽の聴ける映画が観たくなりまして、ご多聞に漏れず Beatles の『A Hard Days Night』とか『POP GEAR』とか。『POP GEAR』は1964年ぐらいのイギリスのビートグループがいっぱい出てて。初めて動いている姿とかを見るわけですよね。Spenser Davis Group がとにかくすごかったっていうのをよく覚えています。 |
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Ann Margret にしびれてしまった 『ラスヴェガス万歳』。 後ろはもちろん若大将。 |
-こうしてパンフレットもちゃんと買ってきれいに保存してあるってところがすごいですね
そうですね、どうしてあったんでしょうね。よく買って残していましたよね。物持ちがいいというか…。 これは(パンフレットを指して)『クレイジー・ジャンボリー』っていう映画でちゃんとストーリーはあるんですが、その合間あいまに Dave Clark Five とか Animals とか Stan Getz なんかが出てくるんです。このビキニの Chris Noel っていう子がかわいくて(笑)。 -日本に来ていたんですね、こういうのが。 ほとんど2週間で終わっていましたけどね。ただ、名画座が多かったんでロードショー公開が終わっても流れてくるんですよね、3本立てで。ビデオなんてない時代ですから、繰り返し見たくなって、一日中お弁当持って3本立てを2クール観るなんてこともしていましたよ。 -まる一日ですね。 まる一日です(笑)。朝行ったのに出る時は暗くなっているという。その中でも Elvis Presley の映画で共演していた Ann Margret に…。 -しびれちゃった? いや本当に。そのうちに好きが昂じてこういう写真集まで買ってしまったという(笑)。全部 Ann Margret で。いいですよ(笑)。 音楽映画を見に行ったんだけど女優さんも好きになっちゃって、そうするとこっちも観てって感じでね。それで喜劇がわりと好きだったんですよ。『グレートレース』っていう映画があったんです。この映画を観た日っていうのが特別な日で、66年の1月15日だったんですけれども、Beach Boys のコンサートがあった日なんですよ。『グレートレース』の映画を見てそれから Beach Boys のコンサートを観たというんでよく覚えているんですよ。 それから、加山雄三さんの映画もよく観ましたね。『エレキの若大将』とかね。必ず怪獣ものと2本立てでね。今から思うとよくそんなに映画を見る時間があったなあ、と思うんですけどね(笑)。 |
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-一番心に残っている映画ってなんですか。
難しいですね。やっぱりコミカルなものが大好きでずっと観ていたんですが『ラスト・ショー』を観たときはちょっと衝撃でしたね。 -Peter Bogdanovich 監督の。Cybill Shepherd が出ていました。 そうですね。この映画で Cybill Shepherd にはまってしまって、その後レコードもCDも買ってNHKの『フルムーン探偵社』もずっと観ていました。そう言えば、Cybill Shepherd が「Blue Moon」を歌っているんですが、実は僕「Blue Moon」も集めていて(笑)。 -いい曲ですよね。バラードだけじゃなくてアップテンポのものがあったり。 「Blue Moon」って Rodgers & Hart だったと思うんですが、2週間ほど前にNHKのBSで『ワーズ&ミュージック』っていう映画を夜中にやっていまして、これが Richard Rodgers と Lorenz Hart の作曲家コンビのことを描いた伝記映画で1948年ぐらいの作品だったと思います。彼らは1930年代に活躍したミュージカル作家だったんですが、当時のミュージカルってもう観られないじゃないですか。それを1948年の映画で再現しているんですね。で Ventures で有名な「10番街の殺人」をやるシーンがあって、ああ、この当時こうやって「10番街の殺人」が演じられていたんだって感激しましたけれどもね。。作曲家コンビの友情を絡めながら音楽もふんだんに入っていて、良い映画だったんで是非ご覧頂きたいですね。Perry Como の若い姿も見られます。 -最近、また音楽映画が多くなってきてうれしいですね。 うれしいですね。『Almost Famous(あの頃ペニーレーン)』なんかは最初の10分ぐらいのところに Beach Boys のあのジャケットがばっと出てきたりしてびっくりしましたけど。それで最後に Beach Boys のあんな曲がかかるのかっていうね(笑)。Carle Wilson のリードヴォーカルですから。 (2001年5月20日 武蔵小山 PET SOUNDS & 森邸にて) |
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