音人千一夜

　第

回 : 森勉さん

森さんが選んだ

Marshmallow（僕のマシュマロちゃん）

Johnny Cymbal
1964 /東芝/Kapp KR-1017

　今では語られることがほとんどなくなってしまった人なんですが、最近ヒットした「明日があるさ」を英語でカバーしていたんですよ。その英語版「明日があるさ」がこのほど日本でシングルCD化されまして、そのカップリングでこの曲も収められています。ヒットって恐ろしいものだなあと思いましたね。Johnny Cymbal はアメリカではチャートに入ったのは確か2曲しかなかったと思うんですが、日本では東芝がどんどんシングル・カットしていて、この曲はラジオで頻繁にかかっていたんです。それで「これだ！」っていうので自分のお小遣いで初めて買ったんです。小学校6年生でした。

I Love Being In Love With You

Adam Faith with The Roulettes
1964 / 東芝/Odeon OR-1218

　山手線の渋谷駅の近くから見える所に中古屋さんがあったんですよ。学校が渋谷だったので電車に乗っていていつも気になっていたんです。「あのお店は何なんだろう？」って。確か「都堂」さんって名前だったと思います。ある日思いきって行ってみたらおじいさんが火鉢に当たりながら店番をしているんですよ（笑）。中学生の子供にとっては中古屋って敷居が高くてなかなか入れなかったんですが The Swinging Blue Jeans のファースト・アルバムが飾ってあってそれに惹かれて入ってみたんです。そしたら50円コーナーというのがあって、当時シングル盤が300円の頃ですから50円といっても今ほど安いという感覚ではないんですが、その中から何にも分からないのに買ったんです。聴いたこともなければ名前も知らない。それを The Swinging Blue Jeans と一緒に買ったんです。これが聴いてみたら大当たりでした。Adam Faith っていう人はきっと Cliff Richard みたいな人でそこに、Beatles みたいなバック・バンドの Roulettes を組み合わせたって感じです。この曲はB面ですが、この時代らしくいい曲です。

France Gall

France Gall
1965 / Philips SFL-7241

　これ（ジャケット）見ちゃったら買わないわけにはいかないでしょう（笑）。それで、僕は「シャンソン人形」ではなくてこの曲なんです。Ｂ面の1曲目の「Soyons Sages」（邦題「恋はおとなしく」）。この当時彼女は1947年生まれの17歳。僕が1951年生まれですからお姉さんって感じでしたね。これもラジオで聴いたんですが「夢みるシャンソン人形」よりも確か先だったように記憶しています。それでこの曲がすごく気になっていたんですが他にも買いたいものがいっぱいあって、アルバムに入るというので買ったという記憶があります。今みたいに Beatles を聴いたら France Gall は聴かないとかそういうのではなくてとにかく全部聴いていたわけです。とにかく、毎日毎日ラジオから聞こえてくる曲が新鮮でね。中学生でしたからフランスもイタリアもベルギーもなくて何語で歌っているかも分からなかったんですが、France Gall っていうのはとにかく"フランス・ギャル"っていう名前が名前でしたから（笑）。

OPEN　am11:00～pm9:30
年中無休

Tel : 03-3787-0818　Fax : 03-3782-1691
〒142-0062　東京都品川区小山3-4-10
（東急目黒線　武蔵小山駅前）

取材を終えて

　僕がはじめて PET SOUNDS に行ったのは1980年代の中頃、都内のレコード屋を探検中、発見に成功。入り口付近のアイドルのポスターと目が合い、気がつけば奥のオールディーズコーナーに魅入られていたという。当時から森さんは色々なお話をしてくださいましたが、あまり頻繁には買っていた記憶がなくて、交わす会話と言えば、森さんが落語を聴きに行きましょうと、僕はぼくで歌舞伎で応戦して・・・。

　僕たちはレコード屋さんが大好きです。PET SOUNDS のようなお店はかつてあちこちにあったような気がしますが、現在は必ずしも多くありません。インタビュー中にも出てきたPOSシステムやインターネットなどの影響もあるように、レコード屋さんを取り巻く環境は大きく変わったのに、PET SOUNDS は変わっていません。森さんの話しは、一つ一つは大笑いしちゃうようなユーモアにあふれていますが、根底に流れるのはレコード屋さんの良心と呼べるものです。

　PET SOUNDS のある武蔵小山は山手線の目黒から2駅目。目黒線には地下鉄も乗りいれていて大変便利になりました。近いですよ。みんなで遊びに行きましょう。

（たかはしかつみ）

　最後に森さんからメッセージをいただきました。そうそう、各章に付けられたサブタイトルも映画好きの森さんからのプレゼントです。映画のなぞ解きもお楽しみ下さい。

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　話しがあちこちにいってしまい、ひとつ、ひとつが散漫な感じになってしまったかも知れません。映画の所など、女優さんの話しばかりになってしまい申し訳ありません。話したいことがたくさんあったもので・・・。
この続きは店の方で。
　8月22日には竹内まりやさんの久しぶりのニュー・アルバムと Beach Boys のライブ・ビデオ＆CD『ネブワース1980』が発売予定になっています。　是非遊びに来て下さい。

（森勉）

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聞き手：脇元和征　構成：たかはしかつみ　写真：荒瀬俊也
協力：高瀬康一／富田英伸

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森さんが選んだ

Marshmallow（僕のマシュマロちゃん） Johnny Cymbal 1964 /東芝/Kapp KR-1017

今では語られることがほとんどなくなってしまった人なんですが、最近ヒットした「明日があるさ」を英語でカバーしていたんですよ。その英語版「明日があるさ」がこのほど日本でシングルCD化されまして、そのカップリングでこの曲も収められています。ヒットって恐ろしいものだなあと思いましたね。Johnny Cymbal はアメリカではチャートに入ったのは確か2曲しかなかったと思うんですが、日本では東芝がどんどんシングル・カットしていて、この曲はラジオで頻繁にかかっていたんです。それで「これだ！」っていうので自分のお小遣いで初めて買ったんです。小学校6年生でした。

I Love Being In Love With You Adam Faith with The Roulettes 1964 / 東芝/Odeon OR-1218

山手線の渋谷駅の近くから見える所に中古屋さんがあったんですよ。学校が渋谷だったので電車に乗っていていつも気になっていたんです。「あのお店は何なんだろう？」って。確か「都堂」さんって名前だったと思います。ある日思いきって行ってみたらおじいさんが火鉢に当たりながら店番をしているんですよ（笑）。中学生の子供にとっては中古屋って敷居が高くてなかなか入れなかったんですが The Swinging Blue Jeans のファースト・アルバムが飾ってあってそれに惹かれて入ってみたんです。そしたら50円コーナーというのがあって、当時シングル盤が300円の頃ですから50円といっても今ほど安いという感覚ではないんですが、その中から何にも分からないのに買ったんです。聴いたこともなければ名前も知らない。それを The Swinging Blue Jeans と一緒に買ったんです。これが聴いてみたら大当たりでした。Adam Faith っていう人はきっと Cliff Richard みたいな人でそこに、Beatles みたいなバック・バンドの Roulettes を組み合わせたって感じです。この曲はB面ですが、この時代らしくいい曲です。

France Gall France Gall 1965 / Philips SFL-7241

これ（ジャケット）見ちゃったら買わないわけにはいかないでしょう（笑）。それで、僕は「シャンソン人形」ではなくてこの曲なんです。Ｂ面の1曲目の「Soyons Sages」（邦題「恋はおとなしく」）。この当時彼女は1947年生まれの17歳。僕が1951年生まれですからお姉さんって感じでしたね。これもラジオで聴いたんですが「夢みるシャンソン人形」よりも確か先だったように記憶しています。それでこの曲がすごく気になっていたんですが他にも買いたいものがいっぱいあって、アルバムに入るというので買ったという記憶があります。今みたいに Beatles を聴いたら France Gall は聴かないとかそういうのではなくてとにかく全部聴いていたわけです。とにかく、毎日毎日ラジオから聞こえてくる曲が新鮮でね。中学生でしたからフランスもイタリアもベルギーもなくて何語で歌っているかも分からなかったんですが、France Gall っていうのはとにかく"フランス・ギャル"っていう名前が名前でしたから（笑）。