Rainy Day
Classics IV
1966/2002 "Atmospherics 1966-1975: A Complete Career Collection" Raven 134 / CD
 けだるいボーカル、しっとり艶のあるギター。押さえ気味のストリングスとサックスの音色、憂鬱な雨の日、どこにも出かけられない日にはこのナンバー。

 Classics IVは、元々1960年前半、フロリダ州ジャクソンビルで、Dennis Yost(Drums&Vocal)、J.R. Cobb(Guitar)中心に結成されたグループで当時は、Classics(Doo Wop の「Till Then」の Classicsとは別グループ)と名乗っており、Four Seasons スタイルの White Doo Wop の辺りのサウンドを狙っていたようです。その後、拠点をジョージア州アトランタに移し、プロデューサーに Buddy Buie を迎え、J.R. Cobb-Buddy Buie のコンビで曲作りを開始、これが功を奏しました。Buddy Buie の落ち着いた音作り、J.R. Cobb のスマートなギター・カッティング、そして Dennis Yost のしゃがれたボーカルが妙にマッチして、「Stormy」、「Traces」、「Midnight」...と独特なグレー色が似合う楽曲を残しました。特にこの「Rainy Day」は、そんな曲の中でも特にロマンチックな大好きな1曲。

 1970年代になると、J.R. Cobb は、Buddy Buie がアレンジャー/プロデューサーについて、Atlanta Rhythm Section を結成。同時にスタジオミュージシャンとして、Al Kooper のアルバム等に参加しました。一方、プロデューサー Buddy Buie は Atlanta Rhythm Section のメンバーの Robert Nix と共作して、B. J Thomas に「Mighty Clouds of Joy」というホワイト・ゴスペルの頂点に輝く素晴らしい名曲を残しました。

 Classics IVについては、やっと2002年になって本格的なベスト盤2枚が、リリースされました。オーストラリア Raven から出たこのアルバム(全29曲)と Taragon からリリースされた『The Best Of Dennis Yost And The Classics IV』。(全27曲)しかし、Taragon盤には、この「Rainy Day」は収録されていません。


(富田英伸)



Rain
大貫妙子
1997 "LUCY" 東芝EMI TOCT-9873 / CD
 朝、窓を開けたら、サラサラの雨。木々の緑の葉が瑞々しくアスファルトに光っています。とても切ないラブソング、でもどこか凛とした趣があって胸に響きます。

 本作品が収録されているアルバム『LUCY』は1997年、12年振りに坂本龍一さんをサウンドアレンジを担当した作品。特に「空へ」から続くラストに収録されているこの「Rain」は特に気に入っているナンバー。大貫妙子さんの創り出す音楽は、どんな方向からのサウンドアプローチでも、その完成度の高さと大貫さんらしい繊細で落ち着いた世界感を感じ取ることができます。大貫さんが参加したイベントコンサート" Beautiful Songs " では、この曲、お気に入りだったのか、宮沢和史さんがこの曲を歌っていましたね。
 大貫さんはこれまで世界中を旅をしてきたことをヒントやきっかけして、様々な音楽的なアプローチをやってきましたが、最近は日本独特の季節感や四季、そしてそこに生きる人々の心象風景について優しく語り出しました。

 大貫さんの作った雨の歌、他にはアルバム『Purissima』(1988年)に収録されている「Rain Dance」も気に入っている1曲。アルバム『Purissima』は、長年コンサートでバックのピアノを務めている、Febian Reza Pane さんを中心としたアコースティックなアルバムで今でもよく聴いています。

 昨年(2002年)のクリスマス、大貫さんのアコースティック・コンサートが Febian Reza Pane さんの柔らかいピアノの音色といっしょに帰ってきました。Febian Reza Pane さんのピアノは優しさに溢れていて、弾いている姿は見ていると"弾いている"というよりも"鍵盤に触っている"という感じ。その指先から音色が生まれてくる様。大貫さん曰く「彼のピアノがないと私は歌えない」という言葉も頷けます。

(富田英伸)

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