『Merry Texas Christmas, Y'all』 Asleep At The Wheel
Highstreet 10355
1997/CD
このアルバムとの出会いは数年前の暮れにラジオのクリスマス特集で1曲目の「Feliz Navidad」が流れてきたのがきっかけでした。当時僕は Dan Hicks や Lew London や Rio Nido などのウェスタン・スウィングものにどっぷりハマっていた時期だったので、キング・オブ・ウェスタン・スウィングであるこの Asleep At The Wheel のクリスマス・ソングを聴いた時、そのあまりのオールド・タイミーなハッピーさに " 今年のクリスマス・ソングはこれに決定!" と狂喜したのです。しかし都内のCD屋さんをしらみつぶしに探したのですがどこにも売っていなく、手に入れるまで1ヶ月近くかかってしまい結局その年のクリスマスには間に合わなかったというオチがつくのですが。(最近は大型店などにも置いてあります。)
Asleep At The Wheel は1970年にウェスト・ヴァージニアで結成され、現在はテキサス州オースティンを本拠に活動するウェスタン・スウィング・バンド。最近もオリジナル・アルバムの再発や、彼らのお師匠さんである Bob Wills へのトリビュート作『Ride With Bob』が国内盤で登場するなどして一部で話題になりましたが、本国では今なお年間200本以上のライブをこなし続けている現役バリバリのロード・バンドなのです。個人的にこういう埃臭いグッド・オールド・ミュージックが大好きで、この手のサウンドにもやはり強烈にアメリカン・ノスタルジーを感じてしまいます。
この『Merry Texas Christmas, Y'all』は'97年に発表されたクリスマス・アルバム。砂漠でアルマジロがサンタの衣装を着てるジャケが物語るように、ペダル・スティールやフィドルやアコーディオンが、雪など全く関係ないテキサス・スタイルのクリスマスを否応無しに盛り上げてくれます。やっぱり1曲目の「Feliz Navidad」がたまらなく素晴らしいです。軽快なアコーディオンのイントロの後、Rey Benson(男)とTish Hinojosa(女)のヴォーカルが交互に登場、サビの "I Wanna Wish A Merry Christmas" で男女一緒に盛り上がり、つんのめるようなアコーディオンと白昼夢のようなペダル・スティールの間奏を経て、再び男と女の掛け合いに戻ります。もともとはトラディショナル・ソングらしく歌詞もサビ以外はスペイン語なので、どんな内容を歌っているのか分かりませんが、男女掛け合いのクリスマス・ソングということで僕は Kirsty MacColl を迎えた The Pogues の「Fairytale Of New York」を思い出してしまいました。こっちはいかにも寒そうなニューヨークですが。他にも作者 Willie Nelson が歌う「Pretty Paper」(Roy Orbison の名唱もありますね)とか、「Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow」や「Silver Bells」や「Here Comes Santa Claus」といった定番曲のテックス・メックス解釈版、中心メンバー Rey Benson 作の小粋なオリジナル曲など、どれも最高に楽しい曲ばかり。
ぜひクリスマス・パーティー用のBGMとしてお使い下さい。Rey Benson もライナーでそう言っております。
(高瀬康一)
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