大学時代にバイト先で知り合った泉谷しげる似のオッサンは、カントリーやオールド・アメリカン・ロックが大好きで、僕がバイトを辞める時に6本の自作のテープをくれました。
そのテープの内容は、その後の僕の音楽嗜好を決定づけるような素晴らしい曲のオンパレードで、中でも特に気に入ったのが Les Paul & Mary Ford の「The World Is Waiting For The Sunrise」でした。それからというもの僕は Les Paul & Mary Ford のレコードを見つける度に買ってしまうクセがついてしまい、自分にとって Les Paul とはギブソンのギターではなく、あくまでも"& Mary Ford"なのだという非ロック的認識を今でも持っているわけです。
そんなわけで、この Les Paul & Mary Ford のクリスマス・7インチ『Christmas Cheer!』をパリの蚤の市で見つけた時は、その逸品なジャケット・デザインを吟味するのも忘れ、喜んでレジへと持っていったのでした。
「Jingle Bells」、「Silent Night」、「White Christmas」、「Santa Claus Is Coming To Town」の4曲入りで、その内「Jingle Bells」と「Santa Claus Is Coming To Town」がLes Paul のギター・インストで、「Silent Night」、「White Christmas」が奥さん Mary Ford のヴォーカル・ナンバー。Les Paul のギター・インストは特徴的な金属音がたまらなくキュート&ストレンジ。録音の年が記されていないので分からないのですが、音を聴く限りでは50年代に試行錯誤を繰り返し完成された多重録音による「ギター・オーケストラ」は、このクリスマス・チューンでも十分に味わえます。